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2015年1月21日水曜日

大阪府内の危険な踏切、重点対策へ~電動車いすの事故

報道によると、大阪府警は、電動車いすで踏切を渡りきれず、お年寄りが電車と接触して亡くなるなど、電動車いすの事故が後を絶たないことから、府内の踏切を調べ、特に危険な踏切をリストアップした。

 
大阪府内の踏切は、JRと私鉄合わせて812か所あり、府警はすべての踏切に署員を出向かせて、段差がないかどうか、一定の幅員が確保できているかなど、目視で点検したという。
特に11か所につては、近畿運輸局や業界団体である「電動車いす安全普及協会」(浜松市)と協力して、  実際に電動車いすを走行させて確認した結果、
(1)急転回するとレールの溝にはまり、脱出できなくなる
(2)踏切の端から逸脱し、車いすが転倒する恐れがある――
のいずれかに当たると判明したという。そのため、昨年10月、鉄道会社に改善策を検討するよう、要請した。

また、消費者庁の消費者安全委員会は、昨年11月、相次ぐ電動車いすの事故調査をすることを決めた。消費者庁によると、全国では2007年5月から昨年9月までに、電動車いすが踏切内で電車と接触する事故で、7人が死亡、3人が重傷を負った。
大阪では、2012年11月に阪急神戸線の踏切で電動車いすに乗っていた高齢の女性が亡くなっている。また、2013年4月、高石市の南海本線の踏切でやはり電動車いすに乗って踏切を渡っていた男性が亡くなっている。
大阪府警幹部は「利用者数の割に事故が多く対策が必要だ」と考え、鉄道会社や電動車いすのメーカーに対策を要請したという。
こういった要請を受けて、鉄道事業者の方でも踏切の補修をするなど、対策に取り組んでいるという。
また、電動車いすの販売会社では、販売時に顧客を訪問して、冊子やDVDを配布して安全な乗り方や、踏切を渡る際には介助者をつけるようお願いしているという。

しかし、カーブでは、電車が脱線せずに曲がるために線路の外側を高くする必要があり、とくに昨今では電車が高速化しているため、この高低差が大きい。踏切がこのカーブ上にあると、外側の線路が高いため、踏切の路面に凹凸ができる。そのため、電動車いすで渡ろうとすると、この凹凸のために、動けなくなく可能性がある。
カーブでの高低差を解消するのは難しいというが、スピードを落とせば、高低差は少なくてすむのではないだろうか?高速で踏切や駅を通過する電車が増えたことが、事故を増やしているのではないかと思う。


高石市の南海本線羽衣7号踏切
カーブの途中にある。2014年7月20日撮影
急速に高齢化が進むといわれる中、自立した生活をする上で欠かせないと、電動車いすを利用する人も増えるだろう。生活する上で、踏切を通行しなくてはならない人も多い。介助者をつけて渡ってほしいといわれても、現実には、なかなか付き添ってくれる人がいないかもしれない。
安全に渡れる踏切にしてほしいと思う。万が一、踏切内に閉じ込められても、閉じ込められた人を検知して、電車が踏切の手前で止まれるようにしてほしい。

≪参考≫拙ブログでは、阪急神戸線の事故、南海本線の事故について、以下で取り上げた。
「電動車いすの女性が亡くなった事故~阪急神戸線旧庄本踏切」2014年5月6日
http://tomosibi.blogspot.jp/2014/05/blog-post.html
「電動車いすのお年寄りが亡くなった事故~大阪府高石市南海本線羽衣7号踏切」2014年7月22日
http://tomosibi.blogspot.jp/2014/07/7.html
≪参考記事≫
「電動車いす、踏切危険 大阪府内に11カ所、重点対策へ 」2015/1/20 1:59 日本経済新聞
 http://www.nikkei.com/article/DGXLASHC24H4T_W5A110C1960M00/

2015年1月5日月曜日

踏切事故をなくすために~命を検知する装置

 報道によると、東京都足立区の企業が、踏切内で倒れたり動けなくなった人を検知し、即座に列車の運転士などに伝える異常検知装置の開発に取り組んでいるという。

 悲惨な踏切事故が相次ぐことに心を痛め、「踏切事故は未然に防げるはず」との思いから、検知器の開発に、二つの異なる分野の企業が取り組んでいるという。
 一つは、2005年に4人が死傷する竹ノ塚踏切事故のあった足立区の企業で、機器の制御が専門の「システムアドバンスト」。鉄道や踏切の業務実績はないという。もう一社は、同社が、画像認識の技術を活用できないかと約30の企業や専門家に声をかけて、応えてくれた福岡県飯塚市の企業「ラムロック」。両社の共同開発は、昨年夏から始まった。
 何かではなく、人間が動かない、動きがおかしいのを検知でき、高齢者がトイレ内で気絶したり転倒する、徘徊するといった特異な動きも見分けることができるという。介護施設などで導入されているそうだ。
 また、雪や雨などの天候や夜間など、周りの状況にも左右されず、人か小動物かの区別もできるという。

 現在、国土交通省の定める技術基準によると、踏切に設置されている障害物検知装置は、踏切を通行する車両を検知するために設置されている。2013年10月の横浜市中山川和踏切事故の際に、事故のあった踏切に設置されている検知器は、人を検知する設定になっていないという報道があった。
 もし、踏切内に倒れていたお年寄りとお年寄りを助けた女性を検知装置が検知し、電車を止めていたら、お年寄りだけでなく、お年寄りを助けた女性も助かっていたかもしれないと、あの当時、誰もが思ったと思う。
 事故直後、私は川和踏切の障害物検知装置を見て、それが最先端の技術を使った踏切設備だと思っていた私は、なぜ女性を救えなかったのかと、悲痛な思いがした。
 その後、報道で、最先端の障害物検知装置は、踏切を通行する人を検知する設定をしていないことがわかった。人を検知する設定にすると、人だけでなく、小動物なども検知してしまい、その都度安全確認のために列車を止めなくてはならないから、人を検知する設定をしていないというのだった。
 
 JR東日本は、2005年からIHI(東京都江東区)と高精度の障害物検知器を共同開発した。JR東日本広報部によると、「人を対象とした検知機能の実現の可否は、技術的な検討を進めている。小動物や天候の影響を受けないようにすることが課題」だという。

 国土交通省によると、全国には踏切が33,655か所(平成25年度末)ある。その踏切を通行するのは、車両だけではない。踏切は生活に必要な道路として、通学や通勤、通院に必要な道路として、多くの人が行きかう。 
 だから、列車の運行だけではなく、踏切を通行する人の命も守る対策を十分考えてほしいと思う。

 そんな思いに応えてくれる企業や人が増えつつあることに、温かさと明るさを感じる。
 私も、踏切事故が少しでも減ることを願って、小さな歩みをすすめていこうと思う。

≪参考記事≫
「『踏切転倒見逃さぬ』 足立の企業 検知システム開発へ」東京新聞2015年1月4日朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015010402000097.html
(1月23日記事を追加)
「踏切事故、人検知センサーで防げ 監視カメラの技術応用」朝日新聞デジタル2015年1月22日
http://digital.asahi.com/articles/ASH1P3D75H1PUTIL005.html
≪以下は、東京新聞記事から≫
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