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2013年9月12日木曜日

国交省、踏切事故調査の強化もとめ概算要求

 平成25年8月27日、国土交通省は、「平成26年度予算概算要求概要」を公表した。 
 
 平成26年度予算は、日本がデフレからの早期脱却を図り、防災対策、強い経済、暮らしの安心、地域の活性化等を実現していく上で重要なものとしている。
 
 
 国交省は「東日本大震災からの復興加速」、「国民の安全・安心の確保」及び「経済・地域の活性化」を三本柱として据え、具体的には、被災地の復興に取り組むとともに、防災・減災や老朽化対策を推進し、経済成長や生活向上の大前提である安全・安心の確保を図ることとしている。
 国交省は「平成26年度予算概算要求概要」の中で、公共交通等の安全・安心の確保のためには、鉄道の安全対策の強化が必要であるとして、
 「鉄道の車両に起因する事故等の発生を踏まえ、再発防止にとどまらず、未然に防止するための調査等を行い、安全・安定輸送の取組を強化するとともに、特に踏切事故について、運輸安全委員会の調査機能を拡充する。」(概算要求概要24ページ)としている。
 
 
 事故を未然に防ぐには、事故調査等を行い、安全対策に生かしていくことがもとめられているが、特に、踏切事故は、運輸安全委員会の調査対象として、厳しい要件があるため、ほとんど事故調査されてこなかった。
 
 
 今夏、公表された「鉄軌道輸送の安全にかかわる情報(平成24年度)」(国土交通省鉄道局)によると、踏切事故は295件起きており、鉄道運転事故の36.4%をしめている。また死亡者数は121人と、同41%をしめている。
 しかし、運輸安全委員会では、これらの事故は事故調査の対象になっていない。今年2月に起きた山陽電鉄の事故が、踏切で車両と衝突した列車脱線事故であるため調査中であるほかは調査されていない。
 列車の衝突・脱線・火災事故以外の事故の調査対象は
1 乗客・乗務員の死亡、 2 死傷者5名以上、 3 鉄道係員の取り扱い誤り又は車両若しくは鉄道施設の故障、損傷、破壊等に原因があると認められるもので、死亡者を生じたもの 3 特に異例とみとめるものに限るとしている。
 
 踏切事故で死傷者が5名以上あることはまれであるし、事故調査してみなければ、直接原因や背景要因はわからない。死亡事故はすべて、調査官が現場に行って調査すべきである。
 
 
 平成24年度は、たしかに踏切事故の件数は減っている。しかし、死亡者は121人と2名増えている。どんな状況でどんな方が亡くなっているのか、踏切事故の実態を把握することが、事故を無くしていくことにつながる。事業者や行政などから中立に公正に、事故の調査をして、原因や背景を明らかにすることで、事故を防ぐ対策も明らかになるのではないか。
 運輸安全委員会の体制を強化して、踏切事故の調査を拡大・強化することが必要だと思う。

《参考》
「平成26年度予算概算要求概要」国土交通省ホームページ
https://www.mlit.go.jp/common/001008721.pdf

運輸安全委員会ホームページ
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/investigation.php 調査中の案件(鉄道)
http://www.mlit.go.jp/jtsb/jikorail.html 調査の流れ(鉄道) 委員会の調査対象

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