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2012年6月4日月曜日

エレベーター事故から6年~徹底した事故調査を

6月3日、東京都港区内で、6年前エレベーター事故で当時16歳の息子さんを亡くした市川さんら主催による講演会が開かれた。作家で評論家の柳田邦男さんが「安全な社会づくりを目指して」と題して、講演を行った。
 柳田邦男さんは、政府の東京電力福島原子力発電所における検証委員会の委員やJR西日本福知山線列車脱線事故調査報告書検証チームのメンバーとして、さまざまな事故調査に関わってきた体験や、事故や災害、公害などを通して、この国の命の問題を考えてきた。

 柳田さんは、「一人の人が死ぬということは、大変な事件なのだ。事故で100人死んだから大変な事故なのではない。一人が死ぬという大変な事故が同じ場所で同時に100件起きたということなのだ。」「被害者の視点、命を奪われた者の立場に立つなら、被害者が100人であれ一人であれ、そこで命を絶たれ、人生を断ち切られるという意味において、何の差もない。それなのに、身近な生活空間で起きる事故については、メディアは事故発生直後はある程度のスペースを割いて報道するが、じきに沙汰やみとなり原因究明に力をいれない。」
 「行政がこの種の事故の対応に本腰を入れて取り組むには、身近なところで起きる事故を総合的にとらえ事故原因を究明し、明らかになった問題点から安全対策を勧告・提言等をする中立の専門的事故調査機関をつくる必要がある。」と語った。そして、被害者や遺族の立場に寄りそう柔軟な姿勢が必要だと話した。

 事故で息子の大輔さんを亡くした市川正子さんは、法的な権限を持ち、監督官庁から独立した中立公正な事故調査機関の設置を訴えた。「事故の本当の原因は何なのか、なぜ事故を防げなかったのか、事故を徹底究明し、その教訓をいかしてほしい。そのためには事故調査機関が必要」と語った。
 会場では、大輔さんの写真や野球道具など、思い出の品も展示され、かつての同級生や野球部員らが訪れた。

 
 市川さんの民事訴訟を担当する弁護士が、事故とその後の経緯や事故を起こしたエレベーターの問題点などを説明・報告した。

 市川さんによれば、エレベーターの事故から6年がたつが、事故を起こしたエレベーターの会社や保守管理会社から、事故について何の謝罪もないどころか、事故原因についての説明もないという。
 エレベーター会社や保守管理会社の担当者を起訴した刑事裁判の公判が開かれ、また専門家による事故調査が進み、事故原因について、解明が進むことを願いたい。

 
《参考記事》
「高2死亡エレベーター事故から6年 柳田邦男さん「安全な社会」テーマに講演会」東京新聞
2012年6月1日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20120601/CK2012060102000077.html

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