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2012年5月31日木曜日

津波浸水予測の学校、4割が避難訓練実施せず

報道によると、5月29日、文部科学省が行った調査の結果、東日本大震災で被災した3県(岩手、宮城、福島)で、自治体のハザードマップなどで津波の浸水が予測されていた地域の学校のうち、4割の学校が、東日本大震災前に、津波に対する避難訓練を行っていなかったことがわかった。また、学校保健法で策定が義務付けられている危機管理マニュアルにも、避難行動を明記していなかったことがわかった。防災について、日常的に検討・協議していなかった学校も、3県全体の4割に上るという。

 文科省は、今年1月~2月、3県の全小中学校・高校と幼稚園合わせて3160校を対象に、大震災への対応について調査した。83%の2617校から回答を得た。

 津波に関する調査では、津波の浸水が予測されていた地域の学校と、実際に津波が到達した学校計149校について分析した。その結果、死亡者や行方不明者がいた学校は30校(20.1%)で、下校中に巻き込まれたケースがもっとも多かったという。避難した場所は「校舎の上階や屋上」(35.4%)がもっとも多く、次に「裏山などの高台」(31.9%)が多かった。

 火災や地震を想定した避難訓練は、3県ともほとんどの学校で行われていた(火災想定98%、地震想定94%)のに対し、津波に対する避難訓練の実施率は6割にとどまり、危機管理マニュアルに明記していたのも6割にとどまった。
 産経新聞が全国の教育委員会に行った調査では、災害マニュアルに津波対策を盛り込むことを検討している教育委員会が多く、上記の学校でも、見直しが進んでいるのではないかという。

 文科省は、今回の調査結果をふまえて、防災教育のあり方を検討してきた有識者会議で、7月までに最終報告をまとめる。

 自治体のハザードマップなどで、津波で浸水が予想されていたにもかかわらず、被災地の学校で避難訓練が実施されていた割合が低かったことは、残念でしかたない。自治体のハザードマップなどがどのように活用されていたのか、定かではないが、各学校や教育委員会は幼い多くのいのちを預かるのだから、火災訓練同様、津波に対する避難方法などについて、検討されていてもよかったと思う。

 
《参考記事》
「津波予測の学校、4割が避難訓練せず 防災意識低く 文科相が被災3県調査」産経新聞2012.5.29 22:32
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120529/dst12052922320026-n1.htm

2012年5月29日火曜日

高速ツアーバス事故~陸援隊、事業許可取り消しへ

ゴールデンウィークの4月29日、関越道で、高速ツアーバスの運転手が居眠りをして、高速でバスがガードレールにぶつかった。その後、そのまま防音壁にぶつかり、防音壁はバスにめり込むかたちになったため、バスの左側に乗車していた人々が7名亡くなり、38名が重軽傷を負った。その悲惨な事故から、1か月がたつ。

 国交省は、29日までに事故を起こしたバス運行会社・陸援隊について、行政処分の中でもっとも重い事業取り消し処分を下す方針をかためた。
28日、群馬県警は、事故を起こしたバス運転手に会社の名義を貸して、違法に営業をさせていたとして、道路運送法違反の名義貸しの疑いで、陸援隊・社長を逮捕した。

 又、バスの運転手も道路運送法の無許可営業の疑いで再逮捕した。陸援隊については、このほかに、国交省の監査で、日雇い運転手を雇っていた、運転手に長時間運転をさせていたなどの法令違反があったことがわかった。国交省は、これらの法令違反と、今回の事故を重く見て、事業許可取り消しもやむなしと判断、陸援隊の主張も聴いた上で、決定を下す方針だ。

 全長約12mのバスは、左前部から防音壁のコンクリート製基礎部分(高さ約1m)にめりこみ、約10.5mまで防音壁全体が入り込んでいた。
事故については、防音壁と防護柵(ガードレール)との間に隙間があったことが、被害を大きくしたのではないかという指摘が当初あった。

 しかし、バスが時速90kmという高速でガードレールにぶつかった衝撃で、ガードレールが外側に傾き、大きな隙間があったように見えていたと判明、東日本高速道路会社は「構造上の問題はない」と県警に報告した。

 2007年2月には、スキー客ら27人が死傷するというバスの事故が起きた。2010年9月、貸切運転手へのアンケートを参考に、総務省は国交省に対して、運転手一人が安全運航できる乗務距離について基準を見直すよう改善を勧告していた。しかし、国交省は運転手一人の1日の最大運転距離の基準「670km」を変更しなかった。

  今月27日、陸援隊が開いた被害者説明会で、今の気持ちを語ったという遺族の一人は、「加害者側にやっと思いを聞いてもらえた」と語る一方、出席した関係者の態度には誠意は感じられず、質問に対する答えも納得のいくものではなかったという。

 事故の原因を徹底的に究明してほしい、そして二度と同じような悲惨な事故を繰り返さないよう、安全対策を考えてほしい。
 バスの運行に関わる人たちには、バスを利用する人の命を大切に考え、安全なバスツアーの基準や安全対策を再度検討してほしい。

《参考記事》
「陸援隊、バス事業許可取り消しへ 国交省方針」 朝日新聞デジタル 2012年5月29日16時39分

「高速ツアーバス事故から1ケ月」(チューリップテレビ 2012年05月29日 19時14分)
http://www.tulip-tv.co.jp/news/detail/?TID_DT03=20120529191635

《参考》5月30日追記
国土交通省: 関越自動車道における高速ツアーバス事故を受けた安全性向上の取り組み
関越道における高速ツアーバス事故を受け、高速ツアーバス関連事業者に対する重点的な立入検査等の実施、過労運転防止対策の強化、貸切バス事業者に対する安全規制の強化等に取り組んでいる。
http://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_002069.html
  

2012年5月28日月曜日

新潟トンネル爆発事故:ガス対策徹底せず

報道によると、5月24日午前10時ころ、新潟県南魚沼市にある国道253号の八箇峠のトンネルで、爆発が起きた。トンネル外部にいた作業員3人が重軽傷を負い、入口から1,300mの内部で作業中だった4名が亡くなるという痛ましい事故が起きた。
爆発は、トンネル内部に可燃性ガスが充満し、何らかの原因で引火した可能性があると専門家は指摘する。

昨年12月、トンネル工事が休止された。今回、休止後初めて、作業員がトンネル内に入り、換気設備の点検を行っていたところ、爆発事故が起きた。作業員は事故当日、ガス測定器を持たずに、換気設備の点検作業を行っていた。工事を請け負っていた業者によると、換気設備は、「防爆構造」ではなく、通常の設備だったという。

この工事を発注した国土交通省北陸地方整備局によると、「施工業者に可燃性ガスが発生する危険性は伝えた」と説明しているが、施工業者は、事故後にこのことを確認したと答えている。ガス発生の危険性が十分伝わっていなかった可能性がある。

当初のトンネル工事のルートでは、ガスが出ることが確認され、この工事のルートが変更された。しかし、変更後の工事でも、ガスについては十分注意することがもとめられていた。
専門家は、「新潟はガスが出やすい。濃度を測るなど、『出るかもしれない』というリスク管理はすべきだったのではないか」と話しているという。

業者は、工事休止前には、濃度を確認しながら、工事を進めていたという。労働安全衛生法では、毎日の作業開始前にガス濃度を測ることを義務付けていると聞く。工事を再開するにあたり、トンネル内のガスの濃度を確認することが必要だったのではないか。
新潟県警は、27日、業務上過失傷害の容疑で、工事を請け負っていた佐藤工業北陸支店など関係先を家宅捜索した。

《参考記事》
「ガス対策、作業員に徹底せず 新潟爆発、佐藤工業を捜索」
朝日新聞デジタル 2012/05/28 11:03
http://digital.asahi.com/articles/TKY201205270392.html

2012年5月21日月曜日

コンプリートガチャ、規制対象へ~罰則も

18日、消費者庁は、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)で行われているゲームの商法「コンプリートガチャ」(コンプガチャ)について、景品表示法で禁じている「カード合わせ」にあたるとの見解を発表した。
同法の運用基準改正案を公表し、意見公募(パブリックコメント)を経て、7月1日から運用する方針。措置命令の対象となり、従わない場合は罰則となる。

カード合わせは、文字や絵、符号が書かれたカードを複数組み合わせて当選を判断し、景品を提供する手法。景品表示法に基づき、射幸心をあおるとして禁止されている。
コンプガチャは、ゲーム上で、「ガチャ」と呼ばれる有料電子くじを引いて数種類のアイテムをそろえると、別の希少なアイテムがもらえる仕組みである。子どもなど低年齢層が、希少なアイテムを得ようとのめりこんで、時に数十万円といった高額な請求をうけた親から、各地の消費者センターなどに相談がよせられていた。

改正案では、カード合わせにあたる手法としてコンプリートガチャを想定した項目を追加した。携帯電話ネットワークやインターネット上のゲームで「偶発性を利用してアイテムなどを有料で提供する場合に、特定アイテムを全てそろえたプレイヤーに別のアイテムを提供する」という手法を禁止するとした。

この問題をめぐっては、5月はじめ、消費者庁が規制に乗り出すことを決めていた。グリーやディーエヌエーなど携帯ゲーム各社は、5月末までにコンプガチャを廃止すると表明している。グリーやディーエヌエーは、業界で作成中のガイドラインに今回の消費者庁の指針や意見を反映させるとしている。

しかし、電子くじ「ガチャ」でアイテムが出る確率は依然として不透明だという。消費者庁は「確立の不表示はただちに景表法違反にあたらない」としているが、ゲーム内の表示を改善するなどの取り組みがもとめられている。

《参考》
消費者庁
「カード合わせ」に関する景品表示法(景品規制)上の考え方の公表及び景品表示法の運用基準の改正に関するパブリックコメントについて
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/120518premiums_1.pdf

《参考記事》
「コンプガチャ:「カード合わせ」の違法と発表...消費者庁」毎日新聞 2012年05月18日 20時29分
http://mainichi.jp/select/news/20120519k0000m040059000c.html