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2011年4月18日月曜日

運輸安全委員会のあり方についての提言を提出~検証メンバー

  2009年9月25日、福知山線列車脱線事故の調査にたずさわっていた航空・鉄道事故調査委員会の委員(当時)が、JR西日本の山崎正夫社長(当時)らから、報告書の調査情報をもとめられ情報を漏洩させていたことがわかった。また、作成中の事故調査報告書の記述について、山崎社長から書き換えを依頼され、委員は委員会審議で、書き換えをもとめる発言をしていたことなどの不祥事がわかった。
 これにより、福知山線脱線事故の「鉄道事故調査報告書」だけでなく、運輸安全委員会の事故調査に対する国民の信頼が大きく損なわれることとにもなった。

 2009年12月、運輸安全委員会は、この問題を調査し報告書を検証するため、有識者や脱線事故の被害者らからなる事故調査報告書の検証チームを設置、今年4月15日、最終会合を開いた。
 最終会合では、いままでの検証結果と今後の事故調査のありかたへの提言をまとめ、大畠章宏国土交通大臣に手渡した。

 検証チームには、脱線事故の遺族や負傷者の家族ら7人が参加、有識者や運輸安全委員会の委員と、1年以上にわたり検討を重ねてきた。
 報道によると、負傷者と負傷者の家族の会の中島正人さん(47)は、1年以上にわたった検証作業を振り返って、「社会的な財産になるような結果が出せたのではないか」と話したという。

 多くのかけがえのない命を無駄にしないための事故調査のありかたを、今後も、ぜひ継続して検討していってほしい。それが、公共交通に携わる事業者や安全で安心な社会の仕組みを考える方々の大切な仕事だと思う。

提言では、
①事故調査の透明性を確保するため、運輸安全委員会が情報公開を進めること。
②事故の当事者である被害者へ可能な限り情報提供を行い、事故調査報告書をわかりやすいものにすること。また、被害者ならではの気づき等を調査に反映させる仕組みを検討すること。
③事故調査関係資料が再発防止に役立てるために、事故調査報告書の作成のために使用された資料を求めに応じて公開すること。
④直接的、工学的な原因だけでなく、事故の背景にある原因関係事業者の組織や安全文化の在り方等にも踏みこんだ調査を行うなど、事故調査の充実をはかること。
⑤事故調査は再発防止を目的としており、原因関係者から事実にそくした口述を得るためには、刑事責任の追及を目的とした警察・検察の捜査から明確に独立させることが必要となる。そのため、現行の鑑定嘱託のあり方を見直すこと。
⑥社会に信頼され、国民の支持を得る事故調査機関となるため、事故調査能力を向上させることが必要。そのため、予算や人員の確保をすることなどが盛り込まれた。

《参考》
福知山線列車脱線事故調査報告書に関わる検証メンバーによる提言は
国土交通省運輸安全委員会ホームページ
「JR西日本福知山線事故調査に関わる不祥事問題の検証と事故調査システムの改革に関する提言(案)」(全体版)【4月19日追加】
http://www.mlit.go.jp/jtsb/fukuchiyama/kensyou/fu04-shiryou1-20110415.pdf
「運輸安全委員会の今後のあり方についての提言(案)-運輸事故の再発を防止し、より安全な社会を構築するために-」 
http://www.mlit.go.jp/jtsb/fukuchiyama/kensyou/fu04-shiryou3-20110415.pdf

《参考》
運輸安全委員会の漏洩問題については、当ブログでもとりあげた
「運輸安全委を公正・中立な調査を行える事故調査機関に」
http://tomosibi.blogspot.com/2009/09/jrmo.html

《参考記事》
「運輸安全委、尼崎脱線事故で検証結果を提出 」 2011/4/15 22:55  日本経済新聞
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E3E7E2E1E48DE3E7E2E6E0E2E3E39191E3E2E2E2;at=DGXZZO0195583008122009000000

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