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2011年3月21日月曜日

踏切事故から6年、竹ノ塚駅付近高架化へ(2)

 連続立体化事業は、莫大な費用と時間がかかる。それは竹ノ塚駅付近の高架化事業がすすまなかった大きな理由のひとつだと思う。

 また、竹ノ塚駅には東京メトロの車両基地があり、竹ノ塚駅は東京メトロの始発駅であるため、車両が出入りすることが鉄道の高架化を難しくしているともいわれる。高架化すると、列車の出入りが難しいという。
 それと、踏切での交通渋滞を回避するため、環状7号線、補助258号線、補助260号線などの道路が、すでに高架化または地下化しているということ。そのため、この区間の鉄道は高架化できないのだという。
 竹ノ塚踏切と交差する道路が地域の幹線道路として交通量が多いにもかかわらず、国道や都道ではなく区道(通称赤山海道)だったことも、立体交差化事業が進まなかった理由ではないかと思う。

 竹ノ塚駅の南北にある二つの踏切は、それぞれ、複々線の4線に加え、東京メトロの車両基地から出入りするための線を加えた5線がある。ピーク時には遮断時間が57分、24時間遮断時間が15時間をこえる「開かずの踏切」である。
 駅南側にある第37号踏切は、幅14m、長さ31.5mある。
 2005年3月15日、午後4時50分ころ、踏切事故は、この第37号踏切で起きた。

 第37号踏切は、警報機・遮断機のある第1種踏切で、遮断機の上げ下げを踏切保安係が手動で行っていた。事故当時、上げ下げを担当していた踏切保安係が、準急列車が来るのを忘れ、遮断機を上げたため、通行人が多数、踏切内に入った。夕方は自転車で買い物に行ったり、通学のために踏切をわたる通行人が多い。

 準急列車の運転士は、踏切内に多数の通行人がいるのを、踏切手前約50メートルのところで気がついて、非常停止のブレーキをかけたが、踏切手前で停止できず、通行人を撥ねた。準急列車は踏切を約225m行きすぎて停止した。そして通行人のうち4名が死傷、その中に私の母(当時75歳)もいた。

 事故は踏切保安係が誤って遮断機をあげたことから起きた。そのため、東武鉄道は事故から半年後、踏切の遮断機の上げ下げに人的判断が加わらないよう、第37、38号踏切の踏切設備を自動化した。
 又、事故後、踏切内の歩道を拡幅したり、踏切をまたぐ歩道橋が設置された。
事故から1年後に設置された歩道橋には、自転車が渡れるようスロープがつくられており、エレベーターも設置された。

 事故後、足立区や地元選出議員、地元町内会、商店街、地元住民などが「竹ノ塚駅周辺鉄道高架化」をもとめる署名活動を展開し、2005年8月には署名数が約22万人にのぼった。これは足立区の人口の約三分の一にあたる。この数字から、踏切事故をなくすため鉄道を高架にしてほしいという願いが竹ノ塚駅周辺の住民だけでなく、足立区民全体の願いだということがいえると思う。

 1979年(昭和54年)に区議会で鉄道高架化の請願が採択されてからでも、約30年、地元では「開かずの踏切」の抜本的な解決を求め、国土交通省など各方面に働きかけてきた。
 
 事故から1年後、2008年(平成18年)3月には法律の改正により、それまで連続立体化事業の事業主体は都道府県だったのが、区も事業主体となれることが決まった。
 その後は、足立区が主体となって、連続立体化事業の計画決定をめざして計画案の作成や地元への説明会などを進めてきた。
 今年3月14日、ようやく東京都都市計画審議会で「都市計画」として審議され、3月末に正式に決定、告示される。長年、地元の人々や事故の遺族は、踏切をなくして、駅周辺東西一体となって発展してほしいと願ってきた。その痛切な願いに、実現のめどがたつ。
 
 正式決定されてから、実際に事業に着手するのは平成23年度だという。実際に、工事の音が竹ノ塚駅に聞こえてくるのはもっとあとになるだろう。

 鉄道の高架化が完成するまで、まだまだ長い年月がかかる。立体化事業に携わる方々のご尽力に深く感謝するとともに、ふたたび悲惨な踏切事故が起きることのないよう、関係者の方々には、今後も引き続き十分な安全対策をとっていただきたいと思う。

踏切事故から6年、竹ノ塚駅付近高架化へ(1)

 東武伊勢崎線竹ノ塚駅は、東京都区部で最北にある。駅周辺は昭和30年代までは田園風景が広がり、春には田にれんげがさき、夏の夜には蛍が飛んでいた。

 駅東側では、昭和36年から昭和42年にかけて土地区画整理事業が実施され、道路・公園など都市整備基盤が整備された。

 現在、駅東側には、商業施設や業務系施設が立ち並ぶ。
 一方、駅西側は、東口と比べ駅前広場や道路などの整備が遅れているといわれる。狭い広場にバスやタクシーが乗り入れ、歩道も狭く危険だ。

 戦後の高度経済成長にあわせ、足立区でも公営の集合住宅が建設されるなど、急速に都市化がすすんだ。その結果、人口が急増し、現在人口は約64万人にのぼる。
 
 その足立区には、南部に東京メトロ千代田線、日比谷線、JR常磐線、京成本線が通っている。また、区中央部を東武伊勢崎線が縦断し、区東部には、つくばエクスプレス、西部には、新交通システム日暮里・舎人線が走っている。
 
 東武伊勢崎線は、竹ノ塚駅の一つ手前の西新井駅手前まで高架になっている。竹ノ塚駅をすぎると、都県境に近い都市計画道路補助262号線の手前から、北へは再び高架になっている。
 
 このように西新井駅から竹ノ塚駅周辺が、鉄道高架化から取り残されていたのはなぜなのだろうか。

 ―(2)へつづく―

《参考》
「東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近の踏切事故とその対応」(足立区都市整備部参事 岡野賢二)「都市と交通」NO.64所収

2011年3月19日土曜日

竹ノ塚踏切事故から6年、献花と黙とう

 3月15日、東武伊勢崎線竹ノ塚駅近くの第37号踏切で、4人が死傷した踏切事故から6年がたった。事故現場の踏切そばでは、献花式が行われ、遺族や地元町内会、地元選出議員ら約100人が犠牲者の冥福を祈った。

 2005年3月15日午後4時50分頃、事故はおきた。準急電車が接近していたにもかかわらず、手動式遮断機の早上げ防止装置が解除され、踏切保安係が準急列車が接近するのを忘れて、遮断機を上げたため、踏切内に通行人が多数入った。準急列車が踏切の50m手前で通行人に気付いて非常停止をかけたが、通行人を撥ねて踏切から約220mすぎて停止した。通行人4名が死傷した。

 献花式では、事故が起きた時刻に合わせて1分間黙とうをした。その後、足立区長や遺族が花束を献花し、地元議員や地元町内会の方々が白いカーネーションを献花台に供えた。

 この踏切は「開かずの踏切」で、ピーク時遮断時間57分を、24時間遮断時間が15時間をこえる。事故後から、足立区が主体となって駅周辺の立体化事業を進め、14日には都の都市計画審議会が計画を了承した。3月末には、正式に告示され、来年度中には事業着手の見込みになった。工事の着手から完成までは約10年かかるという。

 今年は、1985年日航123便墜落事故で9歳の息子さんを亡くした美谷島邦子さん(64)、2006年6月エレベーター事故で息子さんを亡くした市川正子さん(59)もはじめて献花した。

 美谷島さんは、「思い出すこともつらいはずなのに関係者がこうして事故を伝えていることは素晴らしいことだと思う」と話したという。

《参考記事》
「『竹ノ塚踏切』事故から6年、献花式」 (2011年3月16日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20110316-OYT8T00063.htm

2011年3月18日金曜日

東日本大震災の被害、戦後最大に

 3月11日午後2時46分におきた東北地方太平洋沖地震により、被害に遭われ尊いいのちをなくされた方々に哀悼の意を表します。

 また、いまだ、安否がわからない方々が、一刻も早く救出されることを心よりお祈りいたします。そして、負傷された皆さまが回復されること、避難所で不自由な生活をされている皆様が一刻も早くもとの生活に戻れるよう、心よりお祈り申し上げます。

《参考記事》
「東日本大震災の死者6911人 「阪神」超え戦後最大」
2011/03/18 21:42 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011031801000690.html

2011年3月6日日曜日

JR福知山線脱線事故、「ATS必要だった」事故鑑定人が証言

3月4日、神戸地裁で、JR福知山線脱線事故の第11回公判が開かれた。この裁判では、JR西日本前社長山崎正夫(67)被告が業務上過失致死傷罪に問われている。
報道によると、この日は、事故当時、兵庫県警の依頼で、事故を鑑定した松本陽(あきら)氏(62)が出廷し、証言した。鑑定書では「ATS(自動列車停止装置)を最優先に整備すれば事故は防げた」とし、証拠採用されている。

松本氏は、事故当時、(独立行政法人)交通安全環境研究所員で、現在は、国土交通省運輸安全委員会委員で、鉄道部会長をつとめる。

松本氏は、法廷で、事故のあった現場カーブについて「最優先にATS(自動列車停止装置)を設置すべきだった」と証言した。

現場のカーブは、1996年、半径600メートルから304mに付け替えられ、カーブ手前との制限速度差は、最大で50キロに拡大した。松本氏はこの速度差について、「相当例外的。大きな減速を必要とする箇所は、(安全対策上の)重要なファクターという考えは昔からあった」と指摘し、国の省令で線区の最高速度が110キロ以上の場合、カーブの半径は600mにとどめるべきだとしていることを紹介した。そのうえで、「現場カーブはリスクが高く、速度をチェックできるATSの設置が適当だった」という見解を示したという。
また、ATSを現場にいつ設置すべきだったかという弁護側の質問に対しては、「判断できない」と述べ、あくまでも、事故後に鑑定書を作成した時点での認識だと述べた。

今回の松本氏の証言は、事故の鑑定を行った専門家の証言としてとても重いものだと思う。

この裁判によって、福知山線脱線事故の原因やその背景、JR西日本の安全対策の問題点があきらかになることを期待したいと思う。

《参考記事》
「JR福知山線脱線:JR西前社長公判 「ATS必要だった」事故鑑定人が証言」2011年3月5日毎日新聞
http://mainichi.jp/kansai/news/20110305ddn041040004000c.html

2011年3月4日金曜日

JR西倉敷踏切事故、運転士が「特殊信号」見落とす

 2009年5月、岡山県倉敷市阿知のJR山陽線の踏切で、自転車を押して横断中だった女性(83才)が、踏切を渡り切れず取り残され、列車に撥ねられて亡くなった。2010年5月、女性の遺族が、女性が死亡したのは、JR西日本が踏切内の安全確認を怠ったためとして、損害賠償を求める訴えを岡山地裁倉敷支部に起こした。

 踏切は約20メートルあり、原告によれば、「高齢者が渡り終えるのに、約40秒かかる」という。
JR西によると踏切には、障害物検知装置があるが、車両などを検知して運転士に踏切内で立ち往生している車両があることを知らせることはできるが、人は検知の対象としていないという。
 しかし、原告によると、踏切の障害物検知装置が作動し、異常を知らせる「特殊信号」が光ったのに、運転士が安全確認を怠って非常停止の措置をとるのが遅れ、女性が列車に撥ねられたとして、JR西を提訴していた。

 報道によると、3月3日、岡山地裁倉敷支部(細野なおみ裁判官)で開かれた口頭弁論で、事故当時の男性運転士が、当時踏切の障害物検知装置が作動し、異常を知らせる「特殊信号」が光ったのに、男性が見落としていたことを認めた。
 男性によると、電車が踏切から約720メートルの地点に近づいたところで、線路脇にある信号が約1秒間発光した。だが、男性は、当時は車内で時刻表を確認していたため、発光に気づかず、非常停止をかけたのは、約160メートルの地点で人影を発見してからだったという。

 特殊信号は、踏切内で車が立ち往生したときなどに車を検知して発光する。しかし、男性は「ほかの確認作業をしていると気付かないこともある」と説明したという。
 原告の代理人弁護士は閉廷後「踏切内の安全を優先するべきだった」と話し、男性が安全確認すべきだったとした。

 踏切の通行者は車だけではないのだから、踏切障害物検知装置は人も十分検知できるようにすべきだと思うし、「特殊信号」が見にくければ装置を見やすく改善すべきではないだろうか。

《参考記事》
「岡山、運転士が異常信号見落とす JR西の踏切事故」2011/03/03 20:38 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011030301000904.html

2011年3月2日水曜日

自殺対策強化キャンペーンにご協力を

 3月1日から東京都の自殺対策強化月間が始まった。昨年のキャンペーンでは、前年比で15%自殺者の方が減ったという。 今年もキャンペーンでは「いのち」について考え、自殺防止に取り組んでいく。
 日本の人口に占める自殺者の割合は、先進国の中で最も高い水準で、20代の死亡原因の1位が自殺になっている。自殺対策に取り組んでいるNPO法人自殺対策支援センターライフリンクの代表の清水康之さんは「実態に即した対策を政治主導で行っていけば、自殺は減らせるはずだ」という。

 現在、3月から、反貧困ネットワークとNPO法人自殺対策支援センターライフリンクとの共催で、自殺対策の取り組みに参加してくださるボランティアを緊急募集しているそうだ。
 
 これらの取り組みをきっかけに、さまざまなことで思い悩む人が自殺を思い止まり、これからの生活を考える手だてをみつけてほしい。

《以下は呼びかけ文、転載可》
「ボランティア募集、ご協力のお願い」
                               反貧困ネットワーク
                               NPO法人自殺対策支援センターライフリンク

こんにちは。本日は自殺対策強化キャンペーンご協力のお願いで連絡させていただきました。
現在日本では、自殺者数が13年連続して3万人をこえています。そんななか、昨年2010年3月10日に反貧困ネットワークとライフリンクが共催し、日本教育会館で開催されたシンポジウム「自殺と貧困から見えてくる日本」には、800名をこえる方々が参加され、熱い議論が交わされました。

しかし、自殺者は3月、9月の「自殺対策キャンペーン」後には一時的に減るものの、年間3万人をこえたままの水準を維持しています。この現状を解消するために、今年度においては3月の東京都の自殺対策強化月間を皮切りに1年間を通しての活動を行っていく必要性があります。

その活動としては主に下記を予定しております。

①相談先リストの配布キャンペーン(通年で必要なところに配布を行います)
街頭キャンペーン
【日時】 3月7日
【場所】 新宿駅前 西口ロータリー(地上)
【内容】 ライフリンク清水氏、反貧困ネットワーク湯浅氏などによる街頭アピール
※街頭アピール中ボランティアの方が研修会等のチラシ、相談リストを配布します。
②総合相談研修会(4月16日で調整中)
③集会(5月18日日比谷公会堂)

この3つの活動を行っていくためには多くの「ボランティア」のみなさまの力が必要になります。
 【特に必要なお手伝い】
★街頭キャンペーンに参加し、東京都相談会のチラシ・困った時の相談先リストの配布を手伝う。
★「困った時の相談先リスト」を知り合い・団体に、紹介・配布する。
★HP制作等の事務作業の手伝いをする。
★その他、自殺対策の取り組みについて一緒に取り組み、考える。

みなさま、可能な時間・範囲でかまいませんので、ぜひ一緒に取り組んでいきませんか?ご協力いただける方には、ボランティア連絡用のメーリングリストにご参加いただき、こちらから必要な情報を提供、お手伝いをお願いする連絡をさせていただきます。

①氏名
②電話番号(携帯)
③メールアドレス
④お手伝いいただけること
を明記の上、ボランティア集約担当の、
自殺対策有志の会 大西連
メール:ren.sshf@gmail.com
緊急時電話:080-3253-0209
までご連絡ください。よろしくお願いします。

※今回ボランティア募集をさせていただいている「自殺対策有志の会」は反貧困ネットワークとライフリンクの共催の枠組みのなかで実務を担当する有志の集まりです。

《参考》
東京都福祉保健局 「自殺防止!東京キャンペーン」については
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/02/20l2o700.htm
反貧困ネットワーク
http://www.k5.dion.ne.jp/~hinky/
NPO法人自殺対策支援センターライフリンク
http://www.lifelink.or.jp/hp/top.html
《参考記事》(3月3日追加)
「自殺者、13年連続3万人超える 就職失敗や家庭問題が増加」 2011/03/03 10:40  共同通信
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011030301000194.html