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2011年1月21日金曜日

あいつぐ新幹線トラブル、システム改善へ

 報道によると、JR東日本は、17日、5つの新幹線すべてが一時運休した原因は、運行担当部門がシステム表示の仕組みを知らされておらず、不具合情報と誤解したためだったと発表した。

 JR東の宮下常務は担当者やシステム自体には問題はなく、「人為的ミスだった」として謝罪、表示の仕方を変えるという。

 17日のトラブルは、東北、上越、長野、山形、秋田の各新幹線の運行を一括して管理する「COSMOS(コスモス)」というシステムで起きた。新幹線運行本部のダイヤ管理用モニター22台すべてで各列車の駅に到着する予定を示す線が消えたため、運行指令はシステムの不具合が起きたと考え、全列車を止めた。
 JR東によれば、この日朝、雪のため、福島県内の東北新幹線のポイントが故障した。そのため、24本の列車のダイヤを変更することになり、修正箇所がシステム上限の600件を超えて線が一時的に消えた。
 ダイヤの変更をすると、到着予定時刻の変更箇所も表示されるが、上限の600件を超えると、到着予定時刻を示す線が消える。当時は入力作業中で、上限を超えたり超えなかったりしていたため、データ更新のたびに線が消えたり表示されたりしていたことを担当者は不具合と受け取って、全列車を止めたという。

 システム部門はこうした表示の仕組みや修正上限数を把握していたが、運行指令には知らされていなかったことが、運行トラブルをまねいたとされている。
 なぜ、運行担当者にこの仕組みを知らせなかったかについて、JR東の宮下常務は
「現場に知らせると、ダイヤ管理に集中できなくなると判断した。余裕のあるシステムを設計したつもりだった」と説明しているという。

 このシステムの運用が始まった1995年から、1日の列車本数は約230本から320本と約4割増え、2008年にはコスモスのシステムが更新された。しかし、処理能力はダイヤ導入当時のままで、修正の処理能力に限界のあることを、運行本部の指令員は知らされていなかったそうだ。

 JR東の宮下常務は、600件を超えた件数も処理できるようプログラムを改善するとしている。ダイヤの本数が増えているにもかかわらず、システムや設備を見直さなかったことは改善されるべきだと思う。しかし、それとともに重要なのは、システムなどの情報を、新幹線の運行に携わる人々皆で理解し共有する仕組みを検討することではないだろうか。

 15日の架線が切れるトラブルなど、たび重なる新幹線のトラブルの根本的な原因は、どこにあるのか、JR東は十分検討して、再発防止につとめてほしい。
 新幹線は安全だと信頼して、利用する私たち乗客の期待に答えていってほしいと思う。

《追記》1月21日
 報道によると、今回の運休の問題で、「システムに不具合が発生した」と誤解した運行担当の指令部門が所属する新幹線運行本部には、システムの開発者もいたことがわかったという。
 
 しかし、システムの仕組みを把握している社員が同じフロアにいるにもかかわらず、トラブル発生時には、システム部門の担当者が開発者と連絡を取らず、指令部門とも十分な協議をしていなかったことがわかった。
 同本部に詳しいJR東社員によれば「表示が適正だと知っていれば列車を止めない」と指摘しているという。
 同本部の元幹部は、「部門間の連携を密にしなければ同じトラブルが繰り返される」と指摘している。

《参考記事》
「新幹線トラブル、運行担当者の誤解原因 JR東が謝罪」2011年1月18日(朝日新聞、宮嶋加菜子、小林誠一)
http://www.asahi.com/travel/rail/news/TKY201101180470.html

《参考記事》1月21日追加
「新幹線運休、同じフロアにシステム開発者 連携できず」2011年1月20日8時47分(小林誠一、宮嶋加菜子)
http://www.asahi.com/travel/news/TKY201101190517.html

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