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2010年12月13日月曜日

解体現場、死亡事故が後絶たず

 今年、10月14日、岐阜市で、金属加工会社の工場の解体工事中、高さ11m、幅約18mの壁が現場前の道路に倒壊し、自転車で通りかかった女子高校生(17歳)の真上に倒れ、高校生が壁の下敷きになって亡くなった。

 報道によると、工事を請け負った岐阜市の解体業者は、壁が道路側に倒れないように固定するワイヤーを張らずに作業していたとされ、労働安全衛生法で作業主任を配置することが義務付けられているのに配置していなかったという。

 全国解体工業団体連合会によると、2008年の解体現場での死亡事故は、前年よりも11件増えて42件となった。建設業全体の死亡事故はピーク時の2004年から2008年までに3割近く減っているのに、解体絡みの死亡事故はが逆に2割増えているという。
 
 2003年には、富士市で解体中のビルの壁が崩れ落ち、通行人ら4人が死亡2名が負傷するという事故がおきている。国土交通省は、この事故を受けて解体工事の事故防止対策のためのガイドラインを策定したが、強制力はない。

 最近は、公共事業が減ったり、景気が低迷するなど、解体工事のコストを削減するよう業者は求められており、手抜き工事で利益を出そうとする業者もいるという。
 また、1960年代から70年代の高度経済成長期に建てられた建築物の取り壊しや建て替えが今後、増えると考えられており、解体作業も増えると思われる。

 これらの建物は、後から増改築を重ね、構造が複雑になっているものが多いという。そのため、解体工事も難しくなってくる。解体時には、安全性への配慮と、計画的な作業が求められることになる。

 専門家は、解体は壊すだけと軽く見られがちだが、作業や安全管理を怠らないよう、法整備も検討すべきだと指摘している。
 
 解体作業にあたる業者には、突然の事故によって何の罪もない通行者が犠牲になることのないよう、十分な安全対策をとってほしい、そして国交省には事故を防止するために強制力のある法の整備をすすめてほしいものだと思う。

 最後になりましたが、亡くなられた女子高校生のご冥福を祈ります。
 
《参考》
国土交通省
「建築物の解体工事における外壁の崩落等による公衆災害防止対策に関するガイドラインについて」(平成15年7月3日)
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha03/01/010703_.html
《参考記事》
「建物解体現場の死亡事故続発 業者、コスト優先で穴 」  2010/12/6 0:49 日本経済新聞電子版 http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819695E2E0E2E1E68DE2E7E3E0E0E2E3E29191E3E2E2E2

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