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2010年8月22日日曜日

海上保安庁ヘリコプター墜落事故、送電線を見落とした可能性~運輸安全委員会

 8月18日午後3時10分ごろ、香川県多度津町の佐柳(さなぎ)島沖の瀬戸内海に、第6管区海上保安本部広島航空基地のヘリコプター「あきづる」(ベル式412EP型)が墜落するという事故が起きた。ヘリの乗員5名のうち4名の方が海底から引き揚げられたが、搬送先の病院でいずれも死亡が確認された。また残る1名の方も21日発見されたが、死亡が確認された。

 この事故の調査のため、国の運輸安全委員会は航空事故調査官を派遣、21日は、第6管区海上保安本部関係者から事情を聴き、 デモンストレーション飛行の合間に廃船調査を行った飛行計画や、運航マニュアルについて調査した。事故調査官は飛行計画は時間的に無理がなく、通信記録にも機体の異状を伝えた形跡がなかったと判断、パイロットが何らかの理由で送電線を見落とし接触して墜落した可能性が高いと見ているいう。

 ヘリが接触した送電線については「非常に見えにくい」と指摘されており、事故当時、パイロットが送電線や鉄塔に設置された航空障害灯を目視できたかどうかが、今後の調査の焦点になるとの見方を示した。
 
 2004年に、長野県南木曽町で信越放送の記者らが乗ったヘリが送電線に接触して墜落した事故を受け、航空法が強化された。送電線上に球状の目印をつけるか、鉄塔の上部に昼でも確認できる航空障害灯を設置することなどが定められたが、パイロットからは、送電線に目印がないと見えにくいという声もあるという。
 また、飛行前、ヘリの乗員らと行う飛行計画の説明では、送電線についての説明がなかったという報道もあり、操縦士らが送電線について知らなかった可能性もある。  

 第6管区海上保安本部は、墜落した事故機の飛行計画など、墜落事故についての説明が記者会見で二転三転していた。海上保安庁は、仕事の内容を理解してもらうため、海の日や地元のイベントなどの際に一般の人を巡視艇に乗せて体験航海をしている。
 この体験航海に合わせて、ヘリが低空飛行をしたり、潜水士をおぼれた人に見立てて救助するパフォーマンスを行うなど、デモンストレーション飛行をすることがあるという。
 
 今回の墜落事故は、パトロールを終えてデモンストレーション飛行に戻る途中の起きていることを、事故当日夕方には、第6管区保安本部が把握していたにもかかわらず、事実を認めたのは19日午後8時過ぎになるなど、事故についての説明が二転三転した。
 体験航海に参加した司法修習生に配慮したというが、飛行目的などは事故原因に関わることであり、事実を隠ぺいしようとしたのは、事故原因の究明を誤らせかねない重大な過ちだと思う。

 送電線の問題など事故原因を調べることで、今後の安全対策も出されることと思う。亡くなった方がたの大切な命が、無にならないよう、第6管区海上保安本部など、事故の関係者は事実を隠さず話して、事故原因の究明に協力すべきだと思う。

《参考記事》
「香川沖ヘリ墜落、送電線を見落としか 運輸安全委が見方 」 2010年8月22日8時6分 朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0822/OSK201008210199.html

「ヘリ墜落で6管本部長が謝罪 国交相『厳正に処分』」  2010/08/21 22:13 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201008/CN2010082101000483.html

「送電線の注意喚起なし、墜落ヘリ 出発前の説明で」  2010/08/20 13:12 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201008/CN2010082001000036.html

「海上に海保ヘリ墜落、4人死亡1人不明 香川沖」     2010年8月18日20時51分 朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0818/OSK201008180094.html

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