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2010年6月14日月曜日

警報機・遮断機、停止線なしの踏切事故で、JR九州を提訴 

  昨年6月、福岡県うきは市のJR久大線うきは-筑後吉井間にある踏切で、近くに住む小学校5年生の男児が普通列車に撥ねられて亡くなった。この踏切は遮断機や警報機のない踏切で、一旦停止線もなかったという。
 
 報道によると、10日、この小学生の父親が、JR九州に対して「危険回避上の瑕疵(かし)がある」として、慰謝料などをもとめる裁判を起こしたことがわかった。
 
 訴状によると、2009年6月15日午後4時半ころ、小学生は、うきは市吉井町清瀬の踏切(幅1.8m)を自転車で渡ろうとしたが、列車が近付いてきたため、一時停止した。しかし、列車が自転車の前輪に接触、頭を強く打って死亡した。事故当時、現場には、一旦停止線もなかったという。
 
 原告代理人である弁護士は、「小学生にとっては、列車の車幅を予測して接触や風圧による転倒、巻き込み事故を防ぐ判断をすることは容易ではない」としており、「JR九州は警報機や遮断機を設置して危険を回避する責任があった」と指摘しているとのこと。
  
  国土交通省の統計によると、09年3月末現在、全国にある踏切34,252か所のうち、約1割の3,404か所に、警報機・遮断機がなく、 JR九州管内には、踏切2,887カ所のうち287カ所に警報機・遮断機がない。

 遮断機・警報機がない踏切の事故については、広島地裁が2009年2月、高校3年生が列車にはねられて死亡したJR山陽線東広島堀川踏切の事故で、JR西日本に賠償を命じる判決を言い渡している。
 踏切道の安全確保について、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」(平成13 年国土交通省令第151 号)は、「第40 条 踏切道は、踏切道を通行する人及び自動車等(以下「踏切道通行人」という)の安全かつ円滑な通行に配慮したものであり、かつ、第62 条の踏切保安設備を設けたものでなければならない。」とし、
 第62 条 第1 項では、「 踏切保安設備は、踏切道通行人等及び列車等の運転の安全が図られるよう、踏切道通行人等に列車等の接近を知らせることができ、かつ、踏切道の通行を遮断することができるものでなくてはならない。ただし、鉄道及び道路の交通量が著しく少ない場合又は踏切道の通行を遮断することができるものを設けることが技術上著しく困難な場合にあっては、踏切道通行人等に列車等の接近を知らせることができるものであればよい。」としている。

 つまり、踏切には、最低列車の接近を知らせる装置が必要だとしているのである。
 線路がまっすぐだったりすると、見通しはよいけれど、列車と自分との距離がわかりにくく、振動の少ないロングレールなどでは音で列車の接近を判断するのも難しくなってきている。また、列車の幅を予測して、踏切で停止位置を判断するのが困難な児童や生徒が通行する通学路などには、優先的に、警報機や遮断機などを設置すべきだと思う。

 鉄道事業者は、踏切を通行する人がどんな人たちなのか、児童生徒やお年寄りが多いかどうかといったことも考慮して踏切の安全対策を見直すべきだと思う。踏切の周囲の環境の変化に応じた安全対策が求められていると思う。

《参考》
 広島地裁の判決などについては、当ブログの以下を参照
事故の詳細は、当ブログ参照「 踏切事故の現場を訪ねて~4月24日東広島」   http://tomosibi.blogspot.com/2009/08/2009424.html
《広島地裁判決については以下で判例検索できる》
平成20(ワ)8 損害賠償請求事件 平成21年02月25日 広島地方裁判所
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090417195030.pdf
《参考記事》
踏切事故で死亡小5の親 「管理に問題」JR提訴 6600万円賠償請求 遮断機、停止線なし 地裁久留米    2010年6月11日 05:14
=2010/06/11付   西日本新聞朝刊=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/177516

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