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2010年4月26日月曜日

踏切事故の現場をたずねて~高知県佐川町白倉踏切

  2009年4月13日、佐川町白倉踏切を電動車いすで渡ろうとして、近くに住む女性(当時86歳)が踏切内に取り残され、電動車いすのハンドルが特急列車にぶつかり、列車に電動車いすごとはねとばされて倒され、亡くなってから一年がたつ。

 白倉踏切には警報機・遮断機が設置されており、幅は約6.4メートル直進幅7.2メートルある。事故当時、踏切の緊急事態を列車の運転手に知らせる非常ボタンは設置されていなかった。
 列車が来た宿毛方面は踏切から100メートル付近からカーブしていて、列車の運転手は踏切手前100メートル付近まで接近しないと踏切で起きている緊急事態を確認することができないと思われる。特急列車は、非常停止をしても、制動距離が長いために、止まるまでに200メートルから300メートルくらいは容易に進んでしまう。

 見通しが悪い踏切では、踏切手前で安全に停止するためには、早く運転手に踏切の緊急事態を知らせなくてはならない。そのためには、非常ボタン(踏切支障報知装置)はなくてはならないものだと思う。

 また、線路と平行するように走る旧県道は、宿毛方面が上り坂になっており、踏切から列車の来る方向をより見にくくしている。また車いすにすわって乗っていた女性からは、視線が低くなるためにもっと列車の来る方向が見えにくかったと思う。
 一方、踏切の反対側には、国道494号が通っており、白倉踏切は旧県道と国道の両方から車両が入ってくるために、交通量が多い。

(写真は、女性が踏切に入ったあたりから列車の来た方向を見た。車の向こうに旧県道が続く。2010年4月24日撮影)


4月24日、亡くなった女性の長女を訪ねた。
 昨年夏、JR四国の安全対策に疑問を持った女性の長女は、JR四国を提訴していた。

  女性の長女は、事故後、白倉踏切に行き、第1種踏切で、車両などの交通量も多く、列車の運転手からの見通しも悪い白倉踏切に非常ボタンがないのに、近隣の車両通行止めで通行人のほとんどないと思われる踏切や軽乗用車や人しか通れないと思われる白倉踏切よりも小さい踏切に非常ボタンが設置されていることに気がついた。

 もし、子供でも手の届くところに設置され簡単に押すことができ、列車の運転手に緊急事態を知らせることができる非常ボタンが白倉踏切にも設置されていれば、母は事故に遭わなくて済んだかもしれないと思ったという。
 
  なぜ、白倉踏切には設置されていなかったのか。裁判でJR四国が反論したところによれば、非常ボタンを設置する際には、鉄道及び道路の交通量や自動車の種類などを考慮してきめるという。
  ならば、なおのこと、近隣の踏切よりも車両の交通量が多く、道路をはさんで公園が2か所もある白倉踏切こそ、非常ボタンが設置されるべきではないだろうか。
 
  昼間、踏切は、自分では車で移動することができないお年寄りや子供、自転車で通学する中学生や高校生らが通行する。障害を持った方も通行する。こういった人たちが安心して渡れる踏切であるように、安全対策をとってほしい。
 非常ボタンを設置する、警報時間にゆとりをもたせる、踏切道の傾斜を無くすといったような対策はすぐできる対策ではないかと思う。
 バリアフリーは公共施設や駅などだけでなく、人が生活するあらゆるところに必要だと思う。


(写真は白倉踏切、女性が入った方向から斗賀野駅方面を見る。 警報機・遮断機はあるが、非常ボタンはない。2010年4月24日撮影)

(白倉踏切から宿毛方面へ150メートルほど行ったところにある狩場踏切。ここは、幅1メートルほどで、車両通行禁止だが、警報機・遮断機と非常ボタンが設置されている。人通りはほとんどない。2010年4月24日)



《参考記事:4月29日追記》
車いす女性踏切事故死:事故から1年 母の死無駄にしたくない--佐川 /高知 ◇「前へ」歩む決意
http://mainichi.jp/area/kochi/news/20100427ddlk39040665000c.html

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