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2009年7月20日月曜日

外務省 外交機密文書、破棄を指示  

 2001年の情報公開法の施行前に、外務省は、外交機密文書を廃棄して、トイレットペーパーにしていたことが、朝日新聞の取材でわかった。

 日本は世界で唯一の被爆国として、非核三原則(核を持たない、作らない、持ち込ませない)をかかげている。しかし、1972年沖縄返還の際には、その原則を反故にして、核兵器を搭載した米軍の艦船が日本に寄港することを認める「密約」が、日米間で交わされていたことが、アメリカで発見された資料などからわかった。
 この外交資料は、アメリカではすでに公開されているが、日本では公開されていなかった。また、日本政府は「密約」そのものの存在を認めない立場から、文書そのものも存在しないとしてきた。しかし、今回、元外務省高官の証言から、「密約」を示す外交資料の存在が明らかとなり、文書を破棄していたことがわかった。

 外交資料などは私には縁遠いけれど、貴重な歴史的資料でもある外交文書を、国民にないしょで、外務省の役人が勝手に破棄してよいものだろうか。アメリカのように、国民の財産でもある公文書を丁寧に保管し、国民に公開すべきである。
 
 話が飛ぶけれど、日航123便ジャンボ機事故など、重大事故の捜査資料も保管が丁寧ではないと危惧されている。事故の捜査資料や調査資料は、同じような事故を二度と起こさないための調査研究にとって重要な意味をもつと思う。設備の整った施設で丁寧に整理して保管してほしいものだ。そして、事故の再発防止を考える研究者や事故の原因究明をもとめる遺族に公開されるべきである。

《参考記事》
機密文書、溶かして固めてトイレットペーパーに 外務省 2009年7月11日20時58分

 60年の日米安保条約改定にともなう「核密約」関連文書の破棄を幹部が指示していた――。国民への説明責任をないがしろにする姿勢が朝日新聞の取材で明らかになった外務省。その廃棄文書の量は省庁の中で突出している。しかも、01年の情報公開法の施行前に急増し、その後は減るという「駆け込み」だ。情報公開を求める団体は「法の施行を前に、入念に準備して捨てた疑い」を指摘する。

 中央省庁が機密文書を処理する主な方法は、(1)書類ごとにシュレッダーにかける(2)書類を詰めた段ボールごと大型機械で破砕する(3)書類を水に溶かして固まりにする――の三つだ。

 例えば法務省は、まず、地下にある大型シュレッダーで書類を刻む。それを回収業者が工場に運んで水に溶かしている。(1)と(3)の合わせ技だ。他に、(1)を徹底して粉状になるまでシュレッダーにかけている省もある。

 外務省は(3)だ。関係者によると、地下にある大型機械で、機密文書を水に溶かし、紙粘土の粒のような固まりに加工する。処理能力は1日約2トンという。

 書類と水を半分ずつの割合で混ぜ合わせる→パルプ繊維がほどけて書類の形が崩れる→文字が見えなくなったところで、パチンコ玉ほどの大きさに丸める→回収業者に引き渡すという手順だ。これを引き取った業者はトイレットペーパーなどに加工。その一部は再び省内で使われているという。

 こうした中央省庁による文書廃棄の実態を知ろうと、NPO法人「情報公開クリアリングハウス」が情報公開法を使って、各省庁の00年度の廃棄量を分析したところ、最も多くの文書を捨てていたのが外務省だった。約1280トン。2番目の財務省(約620トン)と比べてもケタ違いに多かった。00年度は、同法の施行直前にあたる。

 さらに外務省の年度ごとの廃棄量をみると、97年度は約200トンと他省庁並みだったのに、法案が成立した99年度から急増。00年度にピークに達するが、01年度以降は再び減少傾向になる。

 クリアリングハウスの三木由希子理事は「法の施行を前提に『公開を迫られるくらいなら捨ててしまえ』と入念に準備した可能性がある」と指摘する。

 60年の「核密約」関連文書問題と同様に、72年の沖縄返還に伴って日米間で交わされたとされる「密約文書」をめぐる情報公開訴訟を手がける小町谷育子弁護士は「国民への説明責任も果たさずに、重要な文書を捨てるという行為は許し難い。政策の検証もできないまま、真相はやぶの中だ。国民が怒りの声をあげないと、同じことが何度でも繰り返される」と話す。

 外務省は、再三の取材申し入れに対し、「担当者から連絡させる」としたまま、10日夜までに回答しなかった。(谷津憲郎)

■歴史に対する冒涜

 石井修・一橋大名誉教授(外交史)の話 米国では、政府高官の電話での会話すらテープにとったうえで公文書におこして残す。内容を非公開とする場合でも、文書そのものが存在することは明示される。「公文書は国民のものである」という真摯(しんし)な態度があるからだ。それに引き換え、今回のように、公文書を捨ててしまえと指示するなどというのは、歴史に対する冒涜(ぼうとく)であり、納税者に対する犯罪である。怒りがこみ上げてくる。

http://www.asahi.com/politics/update/0711/TKY200907100424.html

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