2013年3月31日日曜日

踏切道の安全確保に関する行政評価・監視~改善通知を公表

 3月28日、総務省関東管区行政評価局は、踏切道の安全対策を図る観点から、東京都内及び埼玉県内540か所の踏切について、平成24年12月から実地に調査を行い、その結果を取りまとめ、関東運輸局及び関東地方整備局に対して、必要な改善措置について通知することとした。

 同局のホームページによると、
 「踏切道」とは、鉄道の線路と、歩行者、自動車などが通行する道路・通路と交差する部分である。今回の調査の背景などとして、
○踏切事故は、ひとたび発生すると多数の利用者に影響
○踏切道には、踏切警報機等の設置が義務付けられている。また、鉄道事業者は、国土交通省が示している「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の解釈基準に沿って、自らの実施基準を定め、踏切道の安全対策を実施
○東京都及び埼玉県では、平成20年度からの4年間に、踏切事故の約9割が第1種踏切道で発生
○今回、踏切道の安全を確保する観点から、鉄道事業者の安全対策の取組等を調査
 

 関東管区行政評価局は、調査対象として、関東運輸局、関東地方整備局、関連調査対象としては鉄道事業者をあげており、平成24年12月から、平成25年3月まで、おもに、東京のターミナル駅から北に延びる路線の踏切道とその保安設備や安全対策を調査したとのことである。

 踏切道及び踏切保安設備の安全対策については、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」(平成13年国土交通省令第151号)や、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令等の解釈基準について」(平成14年3月8日付け国鉄技第157号)で、詳しく規定されている。
 鉄道事業者はこの解釈基準を参考に、個々の実情を反映した実施基準を策定している。そのため、関東管区行政評価局は、この解釈基準を参考に踏切道の実情を調査している。

 同局が、540か所の踏切を調査した結果、維持管理をさらに充実させる必要のあるものが184カ所(延べ225カ所)に上ることがわかった。
 踏切道の路面の劣化などが認められるもの等(12か所)、踏切遮断機の遮断かんが幅員の一部を遮断する状態になっていないもの(30か所)、遮断かんの高さが路面上から0.8mで水平という標準から異なるもの(135か所)、遮断かんの黄色及び黒色の塗装が退色して不鮮明なもの(9か所)などがあることがわかった。

 また、歩道を設置するなど、何らかの対策が望ましいと認められる踏切道が14カ所あるが、対策を講じる予定のある踏切道は2か所のみであることもわかった。のこりの12カ所は歩道の設置や拡幅について事業の進展が確認できない状況だったとのことである。
 この12カ所の中には、踏切交通実態総点検で「歩道が狭溢な踏切道」として抽出されたものが4か所、通学路に指定されているものが7カ所(平成21年度踏切実態調査結果)あった。

 
 
 これらの調査の結果、関東管区行政評価局は、関東運輸局は鉄道事業者に対して、踏切道の保守点検及び維持管理を適切に行うよう指導することが必要だと通知した。
 また関東管区行政評価局は、関東地方整備局及び関東運輸局は、道路管理者及び鉄道事業者に対して、地域の実情に応じた踏切道の改良を計画的・重点的に促進するよう連絡・調整する必要があるとしている。

 踏切道の安全対策に関わる皆様には、今回の調査結果を受け止めて、安全対策を検討・実施してほしい。
 

《参考》
「踏切道の安全確保に関する行政評価・監視<調査結果に基づく改善通知>」
総務省関東管区行政評価局 平成25年3月28日
http://www.soumu.go.jp/main_content/000215523.pdf

2013年3月9日土曜日

エレベーター事故の刑事裁判、11日初公判

 2006年6月、東京都港区の集合住宅で、当時都立高校2年だった市川大輔くん(当時16歳)が、扉が開いたままかごが上昇し、エレベーターに挟まれて亡くなった。この事故で、シンドラーエレベータの元幹部ら2人が業務上過失致死罪に問われ、3月11日東京地方裁判所で初公判が開かれる。
また、2006年4月に保守点検業務を引き継いだ「エス・イー・シーエレベーター」の社長ら3人も起訴されている。

 事故から約6年9カ月、2009年7月、メーカー、保守点検会社双方の担当者らの起訴から約3年8か月、ようやく裁判が始まる。
  市川さんは、事故から、ずっと
「事故原因の究明はまだなされておらず、独立、中立的な調査機関で徹底的に行って原因を明らかにすることが、二度と同じような事故を起こさないことにつながると信じています」と、訴えてこられた。メーカーからも、保守点検会社からも、事故の原因について、何ら説明がなされないばかりか、謝罪さえもなされず、お子さんの命を奪った事故がなぜ起きたのか、息子さんに説明してやれなかった、と語っていた。

 遺族は大切な人を亡くした悲しみの中で、必死に原因究明や再発防止を訴えている。事故原因究明に向けて、メーカーや関係機関は、もっとすばやい対応でのぞむべきだ。
 早く裁判がすすめられ、事故原因の究明と再発防止に役立つとよいと思う。

《参考記事》
「東京・芝のエレベーター事故死: 6年9カ月経て、11日初公判 遺族『真相確かめたい』」 毎日新聞 2013年03月08日 東京夕刊
http://mainichi.jp/select/news/20130308dde041040020000c.html

2013年3月5日火曜日

総務省、国会図書館 東日本大震災アーカイブの公開へ

 3月5日、総務省によると、総務省及び国立国会図書館は、東日本大震災に関するデジタルデータを一元的に検索・活用できるポータルサイト「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく。)」を、平成25年3月7日(木)に正式公開することを発表した。動画や写真など、30万点以上のデータを扱う。
 国会図書館が民間のネット情報を収集、公開するのは初めてだそうで、情報の散逸を防ぎ、今後の防災対策などに役立ててもらう狙いがある。

 震災の記憶を確実に私たちの心にとどめ、忘れないよう、そして何よりも一刻も早く避難されている方々が元の生活に戻れるよう、被災地の復興のために震災のデータが活用されることを願っていこうと思う。

 同省のホームページから引用(報道発表資料を一部加工しました)
 1 概要
 総務省と国立国会図書館は、東日本大震災に関するあらゆる記録・教訓を次の世代へ伝え、被災地の復旧・復興事業、今後の防災・減災対策に役立てるために、東日本大震災に関するデジタルデータを一元的に検索・活用できるポータルサイト「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(
ひなぎく)」を平成25年3月7日(木)に正式公開する。

 2 国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)について
 東日本大震災に関連する音声・動画、写真、ウェブ情報等を包括的に検索できるポータルサイト。昨年からの試験公開を経て、このたび正式に公開する。大学、報道機関、検索サイト等が収集している動画・写真や、神戸大学附属図書館震災文庫、国立国会図書館が所蔵する資料も
検索できる。さらに、国立国会図書館が収集した国会原発事故調査委員会の映像や、被災自治体等の東日本大震災直後のホームページも見ることができる。

(1) URL
  http://kn.ndl.go.jp 
  総務省及び国立国会図書館のHPトップページのバナーより見ることができる。

(2) 愛称「ひなぎく」
    「Hybrid Infrastructure for National Archive of the Great East Japan Earthquake and Innovative
  Knowledge Utilization 」の頭文字をとり、「ひなぎく」という愛称をつけられた。また、ひなぎくの
花言葉「未来」「希望」「あなたと同じ気持ちです」に、復興支援という事業の趣旨を込めている。

3 検索対象資料・アーカイブ
 あおもりデジタルアーカイブシステム(総務省運用モデル実証事業:青森プロジェクト)、
 NHK東日本大震災アーカイブス(日本放送協会)、
 河北新報 震災アーカイブ(総務省運用モデル実証事業:宮城河北新報プロジェクト)、
 神戸大学附属図書館震災文庫(神戸大学附属図書館)、
 3.11 忘れない ~FNN東日本大震災アーカイブ~(株式会社フジテレビジョン及びフジニュース
  ネットワーク)、
 2011年東日本大震災デジタルアーカイブ(ハーバード大学)、
  東日本大震災アーカイブFukushima(総務省運用モデル実証事業:福島プロジェクト)、
  東日本大震災写真保存プロジェクト(ヤフー株式会社)、
  みちのく震録伝(東北大学)(総務省運用モデル実証事業:宮城東北大学プロジェクト)、
  未来へのキオク(グーグル株式会社)、
  陸前高田震災アーカイブNAVI(総務省運用モデル実証事業:岩手プロジェクト)

 4 今後の見通し
  被災地の復旧・復興、今後の防災・減災に役立つべく、連携先を増やし、検索できる情報をより
 一層充実させていきたいと考えている。

 (同時発表)
  ○NHK東日本大震災アーカイブス
   http://www9.nhk.or.jp/311shogen/

 ○3.11 忘れない ~FNN東日本大震災アーカイブ~
   http://www.fnn-news.com/311/

《参考》
総務省「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)の公開」平成25年3月5日
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000063.html
《参考記事》
「震災記録、国会図書館もネット公開へ 3月上旬に 」2013年2月28日
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1602H_X20C13A2CC1000/